税務トピックス 記事
■2023年1月27日
フリーランスガイドラインとは
◆拡大するフリーランスの現状
デジタル化の進展により、事業組織のフラット化やネットワーク化が進み、インターネットを介し個別にサービスを提供できるビジネスモデルが拡大しました。また、特定の企業や時間、場所等に縛られない自由な働き方を選択する人も増加しています。さらに国もフリーランスを始めとする「雇用関係によらない働き方(多様な働き方)」を成長戦略の1つとして推進しています。
一方でフリーランスを雇用関係で働く労働者と比較すると、各種労働法や社会保険法等による保護が十分ではなく、フリーランスの現状は必ずしも安心して働ける環境になっていません。そこで国はフリーランスガイドライン(フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン)を策定しました。
◆フリーランスガイドライン
フリーランスガイドラインは2020年7月の成長戦略実行計画の閣議決定を受け2021年3月に策定されました。また同ガイドラインは内閣官房・公正取引委員会・中小企業庁(経済産業省)・厚生労働省の連名で策定されていることから、フリーランスの保護の問題は多岐にわたることがわかります。
◆フリーランスガイドラインの基本的考え方
フリーランスガイドラインで定義されるフリーランスとは「実店舗がなく、雇人もいない自営業者や一人社長であって、自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者」とされています。これらフリーランスについて一義的には独占禁止法又は下請法で保護することを予定しています。一般的にフリーランスは交渉力などの格差から一方的に不利な条件の契約になりやすい面があり、発注業者が不当な契約で不利益を与えれば、フリーランスが競争相手との関係でも不利になり、公正かつ自由な競争を促進することを目的とする独占禁止法やその補完を目的とする下請法に抵触することになります。そこでフリーランスとの取引には独占禁止法や下請法の規制により、フリーランスが安心して取引ができる環境づくりをすることになります。
◆フリーランスと労働法の関係
一義的には独占禁止法や下請法で保護されるフリーランスですが、請負契約等の名目でも、実態が雇用契約であると認められる場合には、実態の労働者性に着目し、労働法による保護が優先されます。
<情報提供:株式会社エッサム>
(注意)
上記の記載内容は、2023年1月27日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。
■2023年1月27日
コンビニの適格請求書登録番号は店舗ごとに違う可能性大
◆適格請求書保存方式開始まで1年を切った
令和5年10月1日から消費税の仕入税額控除の方式が適格請求書保存方式(いわゆるインボイス方式)となります。
インボイスとは、「売手が、買手に対し正確な適用税率や消費税額等を伝えるための手段」であり、一定の事項が記載された請求書や納品書その他これらに類するものをいいます。インボイスを交付できるのは、インボイス発行事業者に限られます。インボイス発行事業者となるためには、登録申請手続を行い、登録を受ける必要があります。登録を受けた事業者には国税庁から登録番号が通知されます。仕入れる側は、国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で請求書等に記載されている登録番号が正しいものであるかどうかの確認ができます。
◆フランチャイズの店舗は事業者が別の者?
コンビニエンスストアなどフランチャイズ方式で展開されている事業は、店舗の事業主はコンビニ本部の会社ではなく、加盟店オーナーの個人事業もしくは法人となります。そのため、適格請求書発行事業者の登録番号も、コンビニ本部の番号ではなく、その店舗の事業主の登録番号となります。フランチャイズ本部の直営店もありますので、その場合は本部の会社名となります。 仕入税額控除の要件となる帳簿の記載事項には、「課税仕入れの相手方の氏名又は名称」があります。フランチャイズの場合、コンビニチェーン名だけではなく、店舗名までの記載が必要だということになります。
仕入税額控除の要件となる帳簿の記載事項には、「課税仕入れの相手方の氏名又は名称」があります。フランチャイズの場合、コンビニチェーン名だけではなく、店舗名までの記載が必要だということになります。
◆相手方登録番号の帳簿記載は不要です
仕入税額控除に際しての記帳要件は、令和5年10月1日以降も現在の区分記載請求書等保存方式と同様であり相手方登録番号の記載は不要とされています。よって、経理入力時に登録番号入力の懸念は不要です。
とはいえ、国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトとの登録番号の検証機能を備えた会計ソフトを使っている場合、正しい名称で登録すると実在性の確認もできるので、自社の会計ソフト次第では、入力した方が便利な場合があるかもしれません。
出張経費の精算でコンビニ利用の実額を旅費としている場合、現在でも、食料品は軽減税率の8%、その他は10%、レジ袋も標準税率の10%と、確認と記帳に他のレシートの3倍くらい時間が掛かります。 買い物には便利なコンビニですが、消費税の面から見ると、少し面倒な存在です。
<情報提供:株式会社エッサム>
(注意)
上記の記載内容は、2023年1月27日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。
■2023年1月13日
労働生産性と健康経営
◆「健康経営」とは
健康経営とは従業員の健康にかかる支出をコストではなく投資として捉える戦略的な経営手法のことです。
◆体調不良に伴う労働生産性損失
労働生産性と健康経営との関係を考えるうえで大切な概念が2つあります。
「プレゼンティーズム」と「アブセンティーズム」です。体調不良による労働生産性の損失と言われると、何らかの身体的な病気で会社を休むという状況を思い浮かべるのではないでしょうか。これは「アブセンティーズム」と言います。
一方で出勤はしているものの体調がすぐれず生産性が低下している状態を「プレゼンティーズム」と言います。
近年労働生産性損失の関連で注目されるのが後者の「プレゼンティーズム」です。なぜなら欧米を中心とした多くの研究でプレゼンティーズムによる労働生産性の低下による経済的損失の方が、アブセンティーズムによる経済的損失より大きいという結果が示されているからです。
◆プレゼンティーズムによる労働生産性低下
プレゼンティーズムの原因としては、慢性疲労症候群、うつ病、腰痛、頭痛、花粉症に代表されるアレルギー症などが挙げられます。例えば毎年花粉症の症状に悩まされる人は花粉症の時期になると目のかゆみや鼻詰まり、止まらないくしゃみなどの影響で仕事に集中することができないというイメージが自身の体験からも湧くかと思います。また、さらに女性に関しては女性特有の健康課題による労働生産性の低下が社会的な課題として注目され始めています。
このような状態の時には労働生産性が低下し、結果的に企業の損失につながっていることがお分かりいただけると思います。
◆労働生産性と健康経営の関係
「プレゼンティーズム」も「アブセンティーズム」も、心身の健康や生活習慣の良くない従業員ほど高まる傾向が確認されています。 顕在化しているリスクはもちろん潜在的なリスクのある従業員に対して、若年層を含め健康意識の低い段階で会社側から積極的に健康に関する働きかけをすることが、結果として自社の労働生産性損失を抑えることにつながります。
<情報提供:株式会社エッサム>
(注意)
上記の記載内容は、2023年1月13日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。
■2023年1月13日
インボイス制度 免税事業者の選択と経過措置
◆免税事業者はインボイスで選択を迫られる
令和5年10月開始のインボイス制度は、免税事業者の方に選択を迫ります。免税事業者のままでいた場合、今まで認められていた取引相手の仕入税額控除が減ってしまう可能性があるからです。
◆課税形態によって異なる取引相手への影響
では、実際どんな取引相手に影響があるのかを見てみましょう。
①自分が免税事業者、相手も免税事業者
お互い消費税の納税義務が免除されているので、影響はありません。また、取引相手が消費者の場合も、仕入税額控除を行わないため、影響はありません。
②自分が免税事業者、相手が簡易課税制度適用の課税事業者
簡易課税制度は「みなし仕入れ率」で売上に係る消費税額から控除を行うため、適格請求書を発行していない免税事業者相手でも影響はありません。
③自分が免税事業者、相手が課税事業者
簡易課税制度でない課税事業者は、令和5年10月以降は適格請求書がなければ、仕入税額控除ができません。ただし、令和5年10月から最初の3年間は免税事業者の請求する消費税額の80%、次の3年間は50%を仕入税額控除可能です。
つまり、③の場合は経過措置の適用があっても、取引先は今までよりも仕入税額控除額が減り、消費税納税額が増えるため、免税事業者との取引については購入価格の実質的な値上がりが起きてしまうのです。
◆課税事業者になるか、ならないか?
免税事業者が課税事業者になり、適格請求書発行事業者登録をすれば、課税事業者の取引先との関係は継続しやすいでしょうが、消費税の納税義務が発生するため、現状の売上のままだと利益は減少します。 逆に免税事業者のままでいると、取引先の仕入税額控除が減るため、関係に影響が出る可能性があります。また、免税事業者が消費税を請求して受け取る権利はあるものの、あえて消費税を含まない請求に変更した場合は、現状より利益は減少します。
免税事業者の方は、経過期間の80%・50%の仕入税額控除、取引先の状況、取引先との関係値等、様々な要因を加味して、いつから適格請求書発行登録をするのか、はたまたしないのかを決めることになります。価格改定の話をしなければならないケースも出てくるのではないでしょうか。
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■2023年1月5日
労働生産性と働き方改革
◆労働生産性と働き方改革の関係
「生産性=成果÷投入量」ですので「労働生産性=付加価値÷総労働時間」となります。
国が推し進める「働き方改革」の目的は一貫してこの「労働生産性の向上」です。労働生産性の算式を見てわかる通り労働生産性を上げるには「付加価値を上げる」か「総労働時間を下げる(短くする)」しかありません。既に実施されている各種の働き方改革の施策、例えば「罰則付き労働時間上限規制」や「年次有給休暇の取得義務化」などは後者の「総労働時間を下げる(短くする)」ための施策で、「働き方改革フェーズⅠ」といわれるものです。これに対して「働き方改革フェーズⅡ」といわれる施策も進められようとしています。つまり、これからの働き方改革の施策は「付加価値を上げるため」のものということができます。
◆働き方改革フェーズⅡ
働き方改革フェーズⅡについての具体的な施策はまだ施行されていませんが、内閣府の「経済財政運営と改革の基本方針(以下「基本方針」)2021及び2022」でその方向性が示されています。まず、2020年の世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響後に作成された基本方針2021では、「感染症の影響からテレワークの拡大などの変化を後戻りさせず、働き方改革を加速させる」とし、そのうえで「労働時間の削減等を行ってきた働き方改革のフェーズⅠに続き、メンバーシップ型からジョブ型の雇用形態への転換を図り、従業員のやりがいを高めていくことを目指すフェーズⅡの働き方改革を推進する」と謳っています。ここで注目すべきはフェーズⅡの目的を「従業員のやりがいを高めること(エンゲージメントを高めること)」とし、そのための手段として「雇用形態をメンバーシップ型からジョブ型へ転換すること」としていることでしょう。基本方針2021を受けて作成された基本方針2022では、従業員のやりがい(エンゲージメント)を高めるための多様な働き方の選択やそのための環境整備のための施策が謳われています。いくつか例を挙げると「副業・兼業」「リスキリング」「労働条件の明確化」などは早期の法制化や財政支援が見込まれています。
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上記の記載内容は、2023年1月5日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。
■2023年1月5日
借り上げ社宅の社会保険料-現物給与価額は厚労省告示
◆社宅使用料は所得税法と社会保険法で違う
社会保険(健康保険・厚生年金保険)では、標準報酬月額を設定し、保険料の額や保険給付の額を計算します。標準報酬の対象となる報酬は、基本給のほか、残業手当等諸手当、労働の対償として事業所から現金又は現物で支給されるものを指します。社宅などの住宅の貸与も現物支給に含まれます。
所得税法では、その物件建物の固定資産税の課税標準額をもとに所定の計算をし、賃貸料相当額の計算をし、受取家賃との差額で経済的利益発生(=給与課税)の有無を認識します。
社会保険では、現物で支給されるものが、食事や住宅である場合は、「厚生労働大臣が定める現物給与の価額」(厚生労働省告示)に定められた額に基づいて通貨換算します。
◆社会保険料算定のための現物給与計算
住宅で支払われる現物支給等である場合、1人1か月当たりの住宅の利益の額は(畳一畳につき)いくらと、「厚生労働大臣が定める現物給与の価額」で都道府県ごとに決められています。
ここで計算される住宅面積は、居住用の室で計算します。住宅面積が㎡で表示されている場合、1畳あたり1.65㎡に換算して計算します。もし、勤務地がA県、社宅がB県にある場合、現物給与価額は勤務地であるA県による価額で計算します。
(住宅貸与の通貨への換算額)=(住宅面積)÷ 1.65㎡ ×(都道府県ごとの価額) となります。都道府県ごとの価額は、日本年金機構のホームページで確認できます。
被保険者(社員)から住宅費用を徴収している場合は、換算額から徴収額を差し引いた額が報酬額となります。換算額と同額以上の住宅費用を徴収している場合は、住宅貸与による報酬の額はゼロとして取り扱われます。
◆所得税法と社会保険法でどちらが優先?
それぞれの規定で経済的利益の課税や現物給与発生の有無が決まってくるので、借り上げ社宅の場合、両方の計算をして、入居者から徴収する金額を決める必要があります。
地域によっては、社会保険の現物給与額の方が所得税計算よりも高く算定されることもあるようです。往々にして所得税の経済的利益の有無の確認のみで安心しがちです。社会保険料の計算にも影響を与えないかどうか、社会保険労務士さんにも相談して手続きを進めることがおすすめです。
<情報提供:株式会社エッサム>
(注意)
上記の記載内容は、2023年1月5日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。