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税務トピックス 記事

■2024年4月17日

相続時精算課税贈与者が贈与した年に死亡した場合

 

◆相続時精算課税制度とは

 相続時精算課税制度は、受贈者の選択により、60歳以上の父母、祖父母などの直系尊属から18歳以上の直系卑属である推定相続人又は孫が贈与を受けたとき、課税価格から2500万円の特別控除後の残額に20%の税率を乗じた額を課税し、贈与者が死亡したときは、相続税額を計算する過程で先に課税された贈与税相当額を相続税額から控除して精算するものです。

 相続税の申告書において相続時精算課税贈与を受けた財産の価額を相続税の課税価格に加算します。相続税には基礎控除(3000万円と法定相続人1人当たり600万円)があるので、贈与税額が相続税額を超えるときは、先に申告納付した贈与税の還付を受けることができます。また相続時精算課税制度は贈与者ごとに、父母の双方からそれぞれ贈与を受けることもできます。

 

◆贈与者が死亡した年の贈与は相続税で申告

 相続時精算課税の適用を初めて受ける者は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに、相続時精算課税選択届出書を贈与税の申告書と一緒に提出します。

 相続時精算課税の適用を初めて受ける年に贈与者が死亡したときは、相続時精算課税選択届出書を贈与を受けた年の翌年3月15日(贈与税の申告期限)又は相続開始の日の翌日から10か月を経過する日(相続税の申告期限)のいずれか早い日までに相続税の納税地の税務署長に提出します。

 このとき贈与税の申告書の提出は要さず、相続税の申告書を提出します。

 

◆令和6年施行の改正内容

 令和5年度税制改正により、令和6年1月1日以後の相続時精算課税贈与には、110万円の基礎控除が創設されました。110万円以下の贈与の場合は、贈与税の申告は不要となりますが、相続時精算課税選択届出書の提出は必要です。

 また相続時精算課税贈与を受けた土地・建物が相続税の申告期限までの間に、令和6年1月1日以後に災害により一定の被害を受けた場合は、相続税の課税価格に加算する額の計算の際、被災価額(保険金等で補てんされた金額を差引き後)を贈与時の価額から控除できます。

 

◆届出書の提出もれは暦年課税で思わぬ負担

 相続時精算課税の適用を受けようとするとき、相続時精算課税選択届出書の提出をうっかり忘れると暦年課税が適用され、思わぬ税負担が生じますので注意しましょう。

<情報提供:株式会社エッサム>

(注意)
上記の記載内容は、2024年4月17日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

■2024年4月17日

労災保険料率の改定 ~平成30年以来6年ぶり~

 

◆労災保険とは

 労災保険は、業務災害及び通勤災害に起因するリスクに備えた公的保険です。

 対象は正社員等だけでなく、パートやアルバイトも直接雇用すれば強制加入となり、保険料は会社が全額を負担します。

 労災保険料は、前年度の賃金総額に保険料率を乗じた概算保険料を前払し、翌年6月1日~7月10日に前年度の保険料を確定して過不足を精算し、当年度分を前納します。なお、雇用保険料と一緒に納付します。

 また、建設業の場合、雇用保険とは別に現場毎に適用されるなど異なります

 

◆労災保険料率の改定

 労災保険料率は、過去3年間に発生した業務災害や通勤災害の受給者数や平均受給期間等を基に発生予想額を考慮して改定されることになっています。

 前回改定は平成30年度で、令和3年度は改定されなかったため、今回6年ぶりの改定となります。

 

◆令和6年度の労災保険料改定

 改定される保険料率は、以下の3種です。

①保険料率・特別加入(中小事業主)
②第2種特別加入保険料率(一人親方)
③労務費率(建設・機械の据付け)
※他に第3種特別加入保険料(海外派遣者)もありますが、変更はありません。
 最も多く適用されている①について、改定対象業種と保険料率を紹介します。

 

<保険料が上がる業種・料率(千分率)>

パルプ・紙製造(6.5→7)、電気機械器具製造(2.5→3)、ビルメンテナンス(5.5→6)

 

<保険料が下がる業種・料率(千分率)>

林業(60→52)、定置網漁業・養殖(38→37)、石灰石・ドロマイト鉱業(16→13)、採石(49→37)、水力発電施設・ずい道新設(62→34)、機械組立据付(6.5→6)、食料品製造(6→5.5)、木材・木製品製造(14→13)、陶磁器製品製造(18→17)、その他窯業土石製品(26→23)、金属材料製造(5.5→5)、金属製品製造・加工(10→9)、めっき(7→6.5)、その他製造業(6.5→6)、貨物取扱(9→8.5)、港湾荷役(13→12)、船舶所有者(47→42)

<情報提供:株式会社エッサム>

(注意)
上記の記載内容は、2024年4月17日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

■2024年3月21日

遺言書のデジタル化で諮問

 

 小泉龍司法相は2月中旬の閣議後記者会見で、現在は自筆しか認められていない遺言書のデジタル化について、法制審議会(法相の諮問機関)に諮問すると明らかにしました。デジタル化によって遺言書作成にかかる負担を軽減し、相続トラブルの防止につなげる狙いです。

 

 民法では、本人が遺言書を作成する「自筆証書遺言」の場合、自ら全文と日付、氏名を手書きし、押印しなければならないと定めています。財産目録については2018年の民法改正でパソコンでの作成が認められるようになりましたが、本文はいまだ自筆が求められ、作成時の負担になっています。

 

 法制審への諮問では、パソコンをはじめとするデジタル機器を使った遺言書の作成方式の検討を求めます。手書きに比べて本人の意思に基づいた内容かの判断が難しくなることを踏まえ、電子署名を活用したり、入力する様子を録音・録画したりする案も取り上げます。押印する必要性の検証やデジタル機器を使える範囲も議論。小泉法相は「国民にとってより利用しやすいものにする必要がある」と述べていて、利便性の高さと偽造・改ざんを防止する仕組みの両立がポイントとなりそうです。

 

 また小泉法相は、認知症などで判断能力に不安がある人の財産を家族や専門家が本人に代わって管理する「成年後見制度」についても、法制審に諮問する方針を示しました。高齢化の進展に伴い同制度へのニーズは増していますが、制度の使い勝手の悪さから見直しを求める声がかねてより上がっていました。本人の判断能力が不十分になった後、家裁が後見人を選任する「法定後見」と、本人に判断能力があるうちに後見人を選任する「任意後見」がありますが、法定後見では本人の判断能力が回復しない限り制度の利用をやめられないことに加えて、状況に応じた交代が実現せず本人の自己決定権が制限されているとの指摘がありました。法制審では、法定後見の任期を区切る「期間制」のほか、状況に合わせて後見人を柔軟に交代できるようにする見直しも取り上げられます。

<情報提供:株式会社エッサム>

(注意)
上記の記載内容は、2024年3月21日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

■2024年3月21日

宿泊税 導入に向けた動き活発化

 

 全国で宿泊税の導入に向けた動きが活発化しています。東京ディズニーリゾートがある千葉県浦安市では、2025年度以降に宿泊客から一定額を徴収する方向で検討を始めました。実現すれば県内では初めて。なお千葉県も現在、宿泊税の導入を検討中です。

 

 市によると、市内のホテルなどには1日に約2万4千人が宿泊。一方で、市内の歩道の老朽化に伴う再整備や、観光客にも対応できる救急医療体制を確立するための財源が不足しています。そこで市内のホテルに宿泊する人から徴収する宿泊税を検討するとのこと。修学旅行生を除いた約2万人に納税してもらうと仮定して、1泊につき100円を納めてもらうと、年間7億円の税収が見込めます。今後、大学の研究者や事業者、観光コンベンション協会などによる外部検討委員会を設置します。

 

 宿泊税に関してはほかに、北海道で1泊当たり100円~500円で検討が進められています。こちらも修学旅行生は課税の対象外となる方針です。道内ではすでに倶知安町が独自の宿泊税を導入し、札幌市や函館市などでも検討が進んでいます。北海道が検討している宿泊税は市の宿泊税に上乗せする形です。

 

 宿泊税は地方税法に基づく法定外目的税で、総務相の同意を得て開始するもの。近年のインバウンド需要の高まりを受け、全国で宿泊税を導入する動きが活発化しています。

<情報提供:株式会社エッサム>

(注意)
上記の記載内容は、2024年3月21日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

■2024年1月24日

就業規則はなぜ必要?人材確保にも欠かせない

 

◆次の問にチェックを入れてください。

  代表者または役員の方にお伺いします。
□この1年間1回も会社の就業規則に目を通したことがない
□そもそも自分の会社の就業規則の内容をよく把握していない
□最近就業規則の改定を行ったのは5年以上前
「Yes」と答えた方は従業員の働き方に関する意識が低く、働くルールも不明瞭な部分が多いのではないでしょうか?

 

◆就業規則とは

 その名の通り、就業する際のルールを取り決めたものであり、労働基準法で従業員が10人以上いる企業に作成と従業員への周知、そして労働基準監督署への届け出が義務付けられているものです。常時雇用される従業員10名以上とは雇用の形態を区別していません。アルバイトやパートタイマーも含んで考えます。また、複数の支店があって足せば10人以上になるけれど、1つの支店は10人未満であれば作成も届け出も義務ではありません。

 しかし10名以上になったら初めて働くルールの適用があるわけではないので10名未満でも作成することをお勧めします。

 

◆リスキーな就業規則

 就業規則はあるけれど社長の机の中に入りっぱなし、古い規則のままで現実と実態が乖離していたりします。また、就業規則を周知させると従業員が権利主張をすると恐れる方もいます。一方で会社に不利益な言動を起こす従業員がいても解雇のルールがないので処分もままならず、ハラスメントが起きても対処のしようがないなどと不都合なことが多く起きます。また、作成を従業員に任せて自分は無関心な代表者も見受けられます。しかも規則のひな形で作成して事足りるとしていることです。

 

◆何が良い就業規則なのか

 就業規則は上記のようなリスクに対する管理面もあります。しかし作成するのに目指すは「会社の業績UPに貢献できること」です。従業員のやる気に作用する施策を制度化することです。従業員が安心して働ける環境と従業員が「会社は私たちを大事に思ってくれる」というメッセージと受け取るのです。あなたの会社の価値観を形にしていくことで本当に意義がある就業規則と言えるでしょう。

<情報提供:株式会社エッサム>

(注意)
上記の記載内容は、2024年1月24日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

■2024年1月24日

予防接種と税金

 

◆コロナワクチン無料接種は今年度末まで?

 新型コロナウイルスのワクチン接種については、現在接種の費用を全額公費で負担する「特例臨時接種」を行っていますが、今年度末、つまり令和6年3月末で終了予定です。今後の対応についてはまだ正式な発表はありませんが、「定期接種」になれば、自己負担が生じるケースも考えられます。

 さて、この予防接種ですが、会社から費用が出ている方もいらっしゃるのではないでしょうか。予防接種の費用は、条件を満たせば経費となります。

 

◆法人の経費になる条件

 予防接種は基本的に個人が費用を負担するものですが、会社が負担して経費に計上できる場合があります。

①予防接種が業務上必要であること
②すべての従業員を対象としていること
③金額が社会通念上常識の範囲であること

 以上を満たしていれば福利厚生費として認められます。

 例えば海外赴任するために予防接種を受ける際、対象となるのは海外赴任する従業員です。国内で働く従業員が個人的な海外旅行に行くために、同じ予防接種を受けたものを会社が負担しても経費にはなりません。また、体調不良や身体的な問題等で予防接種を受けられない従業員が居たとしても、予防接種をする機会が平等に与えられていれば、経費に計上する要件は満たされます。

 

◆個人事業主の予防接種

 個人事業主の場合、自分または専従者が受ける予防接種は経費にできませんが、全従業員を対象にする場合は福利厚生費として計上できます。また、予防接種はあくまでも「予防のための支出」であるため、医療費控除も適用できません。ただし、セルフメディケーション税制の対象になるケースがあります。セルフメディケーション税制は医療費控除との選択適用なので、どちらが有利になるのかを選択した方が良い場合も出てきます。

 

◆予防接種の消費税

 社会保険医療などの社会政策的な配慮に基づくものについては非課税となるため、通常病院で診察を受けたり、薬を貰ったりするのに消費税はかかりません。しかしインフルエンザ等の予防接種は、保険適用外となっており、消費税がかかります。経費になる場合、記帳に気をつけましょう。

<情報提供:株式会社エッサム>

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上記の記載内容は、2024年1月24日現在の情報に基づいて記載しております。
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■2024年1月8日

税金で損する早生まれ

 

 早生まれの人の親は税金で損をしてしまうことがあります。所得から一定額を差し引ける扶養控除の仕組みが、1~3月に生まれた人には不利なものとなっているためです。

 

 扶養控除は、16歳以上の人を扶養している家族が、所得から38万円を差し引ける制度。16歳以上か否かは12月31日時点の年齢で判定します。問題は同じ学年の生徒でも12月31日時点の年齢はふたつに分かれること。高校1年生の段階で12月31日までに16歳になって扶養控除の要件を満たすのは、遅生まれの生徒に限られます。早生まれの生徒は高校1年生の時点では扶養控除の対象にならないため、その親は遅生まれの生徒の親と比べて1年待たないと控除できないということになります。

 

 それだけであれば1年スタートが遅れるだけでトータルは同じだろうと思うかもしれません。しかし早生まれの子どもはトータルの控除額が減る可能性が高いのです。その理由は、子どもが学校を卒業して一定の給与を受けると、所得制限によって扶養親族から外れてしまうためです。そうなると、親が1年遅れとはいえ適用できるはずだった所得控除を使えなくないということになります。

 

 同様の「損」は児童手当にもいえ、児童手当の受給要件は「中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)」となっています。このため早生まれの子は15歳にもかかわらず中学を卒業しているため児童手当をもらえず、最大で遅生まれと11万円ほどの差が出てしまいます。

 

 なお例外として、1月1日生まれの人は早生まれではあっても扶養控除の対象となります。というのも、民法の規定により、年齢が一つ増える時刻は誕生日の0時ではなく、誕生日前日の24時とされているため。1月1日生まれなら12月31日の24 時の時点で16歳になり、控除対象となるというわけです。

 

 扶養控除制度には、19歳以上23歳未満の子がいる人に対し、通常より多い63万円を差し引ける特例も設けられています。大学の授業料など多額の教育費支出が必要になる親の負担を軽減するためのものですが、この特別控除も早生まれの子の親は適用まで1年待たされることになります。

<情報提供:株式会社エッサム>

(注意)
上記の記載内容は、2024年1月8日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

■2024年1月8日

忘新年会代を漏れなく経費に

 

 コロナ禍が落ち着いてきたと世間的にみられているなかで、忘年会を盛大に開催した企業は多いでしょう。あるいはそうした新年会を予定しているかもしれません。そこで、久しぶりの忘新年会の費用を経費でしっかり落とすコツを改めて確認しておきたいところです。

 

 社内の忘新年会であれば、よっぽど豪華な宴席でも催さないかぎりは、社員を交えたレクリエーションの一環として「福利厚生費」で損金に算入できます。福利厚生費で落とす時のコツは、会社なり部署なりの全員を忘年会にきちんと呼ぶこと。仕事の都合で出席できないというケースはやむを得ませんが、最初から「お気に入りの社員だけ」「役員だけ」というような縛りを設けてしまうと、一部従業員への給与とみなされてしまうので注意が必要です。

 

 一方、取引先など外部の人間を招いて行う忘新年会は原則的には損金に算入できない「交際費」とみなされてしまいます。たまたま取引先の人間が数名参加という程度であれば実務上は福利厚生費で落とせる可能性が高いのですが、それでも交際費と認定されるおそれはゼロではありません。

 

 ただし交際費は一定額までは損金にできる特例があるうえ、取引先を招いて行う忘新年会の費用は「飲食費の5千円ルール」に該当すれば経費にできます。これは外部の人間を1人以上招いての飲食で、その代金が一人当たり5千円以下であれば全額を「飲食費」として損金にできるというもの。1次会と2次会をそれぞれ5千円で落とすこともできます。福利厚生費とは逆に、外部の人間を招くことが要件となっている点に注意しましょう。

<情報提供:株式会社エッサム>

(注意)
上記の記載内容は、2024年1月8日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。